| たむぶん、おすすめ度: |
初めて読む作者の作品。「ブラックアウト」、「オールクリア」二つ合わせて、ヒューゴー、ネビュラ、ローカス賞を全部取った一つの長編作品。違いも大きいが、山田風太郎、特に明治物に共通する楽しさがある。良かった。
タイムトラベルが現実になり、歴史調査を学生が現地に行って行うようになった2060年の話。同じ世界設定で既に何作も出されていたのを知らなかった。この作品だけでも読めるようになっているのだが、出来れば発表された順に読みたかった。
第二次世界大戦の1940年のイギリスの異なる場所に三人の学生が調査に行き、絶対安全と分っている所から観察するはずだったのだが、三人それぞれにハプニングが起きて、帰れなくなり、戦争真っ只中に当事者として巻き込まれていく。この三人の1940年の場面の他に、1944年、1945年の謎の人の場面もオムニバス式に展開される。
全体に長いし、全場面が絶対に必要と言うわけでもなく、削れば話を短くも出来ると思うが、戦時中の色々な場面が良いテンポで描かれているので、このままで良い。シリアスなストーリーなのに何故かコミカル。色々な場面に伏線が貼られていて、ミステリー的な要素もある。