| たむぶん、おすすめ度: |
水野成貞から、息子で旗本奴で有名な水野十郎左衛門に続く話となる予定だったが、水野成貞が傾きものとなってすぐぐらいの所で未完に終ってしまった話。あとがきを読むまで、主役の成貞が十郎左衛門の親と言うのも知らなかったし、何かいたなーぐらいしか覚えていなかった。未完ではあるが、一つ目の山場は終るので、欲求不満にはならない。タイトルは「乾いて候」のもじりか。
一緒に入っていた「異説 猿ケ辻の変」の方は、幕末の姉小路公知殺害事件の犯人探しの話。あまり隆慶一郎の話っぽくなくて、大したことなかった。
縄田一男さんとの対談に出てきた、隆さん、縄田さんどちらもが若い頃に国枝史郎、林不忘、角田喜久雄達の伝奇物を夢中になって読んだと言うのが一番の収穫。どの作者も聞いたこと無かったが、青空文庫で読めそうな話が結構あるので、いずれ読みたいと思う。歴史が三割あとの七割は面白ければいい、というのが好みにぴったりくる。