オイラー角
対称軸のある剛体の自由回転(その3 やり直しの続き)の続きです。
回っている剛体から見たときの角運動量と角速度ベクトルがどう動くかは多少分りましたが、止っている人(空間座標)から見たときの剛体の運動が分らないとあまり嬉しくありません。ここで説明するオイラー角を使うと、空間座標から見たときの剛体の動きが表現し易くなります。
オイラー角は、三つの角度
を使って、剛体の空間座標系に対する傾きを表現する方法で、一般の剛体に対して使えますが、ここでは、話を単純にするために、対称軸のある剛体を使って説明します。
まず、角度
を使って、対称軸を定めます。空間座標軸を
軸として、
はz軸に対する対称軸の傾き、
は、対称軸をxy平面に射影した直線のx軸からの傾きです。
そして、最後に角度
を使って、剛体が対称軸回りにどれだけ回転したかを定めます。回転の基準として、
のときの配置を決めないと行けませんが、そこだけ少し面倒で次のようにします。(下の図では赤がx軸、緑がy軸で、青がz軸と見て下さい。円盤の上に書かれた軸は、剛体に貼りつけられたx,y軸で、水平なグリッドに書かれた軸の方が空間座標のx,y軸です。)
剛体座標系の向きが空間座標系と一致している配置から、まず、剛体を空間のx軸を中心に
回し、続いて空間のz軸を中心に
回してやります。こうやって対称軸を
の位置に持っていったときの剛体の配置を
の配置であるとします。具体的に計算するときに必要になりますが、取り敢えず
は対称軸回りの回転だと考えるだけでも十分です。定義から分かるように、
だと、
の区別が出来なくなります。
オイラー角の時間変化
は、各瞬間の剛体の回転運動を表現することになり、それぞれ、剛体の対称軸がz軸に対して傾く角速度、剛体の対称軸がz軸回りを回転する角速度、剛体が対称軸回りを回転する角速度となります。
体操(人間は円柱とする)に当てはめて、宙返りの角運動量がz軸方向、x軸方向かy軸方向に重力が働いていると考えると、
方向の回転が宙返りに相当します。空中にいる間に
が360度回ると一回宙、720度回ると二回宙です。また、対称軸回りの回転が捻りで、
が360度回ると一回捻りになります。
は捻りの軸の傾きです(
捻りに必要な体の傾きに書いたときとは、
の定義が少し違います)。
オイラー角の時間変化に続く