短編五作。
ダ・ヴィンチ・コードを読んでる内に、読みたくなった。山田風太郎の明治物は、元の水準が高すぎて、他の本の基準で行くと★乱発してしまうので、辛めに評価する。
「斬奸状は馬車に乗って」★★★
灯籠大臣こと小松寿盛、高利貸しの馬町竜算、福島県知事三島通庸などの明治の悪者達と振り回される若者達の話。
「東京南町奉行」★★★★
これは、時代小説好きにはたまらない。江戸を震え上がらせた「妖怪」が東京に帰ってきた。但し、これで、ピンと来ない人には、特に面白くないかも。
長編にしてもらいたい。
「首の座」★★★
明治維新に先駆けて暴れた沢卿と、西南戦争に先駆けて佐賀で暴れた司法卿の江藤新平と。我人、生くる方が好きなり。
「切腹禁止令」★★★★★
幾ら辛く評価しても、これは満点。
明治新政府になって、後の議会の元となる公議所に切腹禁止令を提案した小野清五郎と言う人の話。
幕府瓦解前、切腹を嫌う理由となる半生と、瓦解後の切腹禁止令を提案してのち、運命が彼を切腹させよう、させようと襲いかかってくる半生。よく、こんな題材を見つけてくるものや。
「おれは不知火」★★★
佐久間象山の子、恪二郎が、親の仇、河野彦斎を追いながら時代に翻弄される。