たむぶん、おすすめ度:
江戸から昭和に至るまで連綿と続く笛師(雅楽の笛を作る職人)の家の話。良い。
全四章で、各章ごとに主人公が変わる。長編と言うより、連作短篇集だな、と感じていたが、巻末の解説によると実際にそういう形で発表されたみたい。
「伝統」とは少し異なる「かたち」を受け継ぐというテーマで全体が繋がっている。そして、第四章では、例によって例のごとく、歩く。
話はとても良い。しかし、本として駄目。巻末の解説に、各章のあら筋が丁寧に書かれている。一体、あら筋にまとめることになんの意味があるのやら。本編読む時間の無い多忙な現代人への親切心? まあ、それは巻末を最後に読むからまだいい。この本は、なんと、単行本の裏表紙、小説の紹介文で思いっきりネタバレしてる。なんぼなんでも許せん。
はっ! 単行本としての「かたち」を敢えて破ることに解説者が挑戦したのか。