月の満ち欠け(満月、半月、三日月といった違い)は、世界中どこでも共通です。しかし、夕方に沈む三日月がどのように傾いて見えるか、は場所によっても異なるし、季節によっても異なります。特に、日本では沖縄などの低緯度地域を除くと、左下が光って沈む三日月を見ることは出来ません。その仕組みを今回作ったブラウザアプリ:
月の満ち欠けと緯度を使って説明します。
半月の場合どうなるとか、細々書くとややこしくなるので、北半球で夕方沈む三日月に限ると、
- 三日月は、緯度の高い地方ほど立つ
- 三日月は、春分の日に近い時に寝て、秋分の日に近い時に立つ。夏至、冬至ではその中間ぐらいに傾く
という性質があります。
今回は、1.の緯度の高い地方ほど立って見える大雑把な理由を説明します。
まず、太陽も月も日周運動で天の北極を中心にして回っています。
天の北極の高さは、その土地の緯度に一致しているため、太陽も月も地平線に沈む時には、鉛直に対してその土地の緯度だけ傾いて入りこむという性質があります。
このため、太陽と月は、緯度の低い地方では鉛直に近い角度で沈み、緯度の高い地方では浅い角度で地平線に沈むことになります。この角度は年中変わりません(
赤道では毎日太陽は鉛直に地平線に沈み、
北極圏での夏には、角度が浅すぎて沈まなくなります)。
三日月は、太陽が夕方に沈んだ後、しばらくしてから沈みます。つまり三日月は太陽のある方向の近くにあります。このため、鉛直に近い角度で太陽と月が沈む低緯度地域では、下から月が照らされるので寝て見えることになり(
鹿児島の例)、浅い角度で月が沈む高緯度地域では、横(北に寄った側)から月が照らされるので立って見えるのです(
札幌の例)。