| たむぶん、おすすめ度: |
国姓爺、鄭成功の活躍を背景にして、幼い鄭成功が日本にいた当時の友人、鄭成功の親の鄭芝龍に父を殺されたと考えている友人の姉の生涯を描いた小説、と思ってとてもワクワクして読み始めたのだが、友人と姉のお話はすぐに脇に置かれてしまった。結局、小説の大半は、鄭成功を中心にして滅ぼされていく明王朝の歴史を追ったもの。それでも面白いことは面白いけど。鄭芝龍を描いた
「風よ雲よ」でも、同じように、最初は豊臣秀吉の遺児を見つけ出して豊臣復興を目指す話がメインになると思ってたら、すぐにそっちは置いてきぼりにされる、というパターンだった。
宇宙からの攻撃に曝された地球人が、国同士の争いをやめ協力しあって、強大な敵に立ち向かう、という王道は中国では通用しない。この話の満州民族に攻撃される漢民族のときも、
アヘン戦争の時のイギリスに潰される清のときも、攻められて危機に陥っている側が、互いに足を引っ張り合って内部の分裂がより酷くなり自滅していく。でも、考えてみると、アイヌも、アメリカインディアンも、明治維新の時の日本も似てる気がしてきた。