たむぶん、おすすめ度:
大学院時代の先輩の出された教科書。他にも色々書いてられるが、初等力学なら気楽に2,3週間で読めるかな、と思い買ってみたところ、読み終えるのに一ト月半以上掛ってしまった。
中学、高校レベルの力学や数学にもたっぷりとページが割かれており、中途半端、曖昧な理解で先に進まないように、という配慮がされている。著者が予備校や授業で出会った質問、勘違い、突拍子もない間違いなどが、FAQなどの形で随所に書かれている。思わず吹き出してしまったところもある。
この本全体を通して、物理的な考え方を身につけるのが重要、公式を覚えるのは重要ではないという立場がはっきりしているので、公式を一々枠で囲ったりはしていない。むしろよく使われる公式の導出まで計算を進めてない時もある。従って、こういうパターンの問題には、これこれの公式を当てはめて、こうやって解く、というやり方で勉強してきた人が読むと、どこが重要なのか分らない、と戸惑ってしまうかも知れない。練習問題、章末問題も、勘違いした理解をしていると間違う、というように上手く作られてる感じ。
少し、難点を上げると、全体に優しく丁寧に計算式を説明(左辺を右辺に移行して、、、など)しているのに、いざ難くなってきた場面で、一気に端折ってしまっていることがある、という所。その辺りまで付いて来た人なら、細かい間の式は要らんやろ、という考えと紙面の関係で仕方無かったのかも知れないが。
ミスプリもかなりあるが、それに関してはWeb上でのサポート掲示板もあるし、版が進めば改訂されていくと思う。
力学をちゃんと理解して、さらに先に進みたい人にお勧め。公式をパターンに当てはめて問題だけ解けたらいい(これも工学的応用の立場からはありとは思う)、という人にはお勧めできない。