たむぶん、おすすめ度:
そのタイトルから作者風にアレンジして読み易くした西遊記かな、と思い、そう言えば、ちゃんと最初から最後まで読んだことがなかったので、読んでみた。
小説ではなかった。
小説の西遊記のあらすじを部分部分紹介しながら、それにまつわるウンチク、西遊記の作者の意図、実際に陳舜臣さんが現地を旅した紀行記、歴史上の三蔵法師玄奘さんとの比較などをハイブリッドに行き来する不思議な本。お話の方のお坊さんを「三蔵法師」と書いて、歴史上の「玄奘」と区別してある。小説を書くつもりが無いので、ストーリーとしては、前後したり端折ったり。始めの内は、いつからストーリーが始まるのか、とイライラしてたが、割りきってしまってからは、これはこれで、まあまあ面白くなってきた。
お話でなく、歴史上の玄奘さんの方、砂漠の中を渇きに苦しみながら何とかオアシスに辿りついたり、極寒のパミール高原の中を突破したり、死と隣り合わせの中、歩き続けて二十年掛けてインドに行っている。「極限状況」、「歩く」、「犠牲者」、「天気」、まさに、新田次郎さんの大好きなネタだ、と思ったのだが、書いてくれてなかったようだ。