たむぶん、おすすめ度:
バルザックの人間喜劇、このキーワードは山田風太郎の明治物の後書きなどで時々目にするので、一度読んでみようと思っていた。
文章が古くさくて人物が誰が誰なのか分かり辛く、前半読んでいる内は、面白いのかしんどいだけなのか判断しかねていたが、1/3過ぎたあたりから面白くなってきた。確かに、山田風太郎の明治物に通ずる物がある。娯楽性を追求しているわけではないので、司馬遼太郎と山田風太郎の間、少し山田寄り。
舞台は、フランス革命後の混乱の時期。まず、Wikipediaでこの背景を軽く調べておかないと何のことかさっぱり分からない。多少の知識を得てみると、明治維新の後の混乱と大枠が同じだとわかってきた:旧幕勢力→王党派、明治新政府→共和派、ナポレオン→西郷隆盛。こうやって重ねてみて、その上で、細かい差異を見ていくと、何となくフランス革命が分った気になってくる。
内容は、ヴェルヌイユ嬢というとびっきりの美女に翻弄されて、何とか策を巡らせて彼女を物にしようとする男達と、その策に踊らされるヴェルヌイユ嬢と、時代に振り回される人々の悲喜こもごも。
好きになって裏切られて復習を誓い、会うとまた好きになってを繰り返す
ベルヌーイの永久機関を題材にした熱力学の小説でもある。